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【断片2】いざゆかん死出の旅路へ

2008.10.20 02:46

「おい、新入り。そんな処で寝転がってちゃいい的だぜ」
「死んだと思ってくれれば僥倖だなぁと思ったのですが」
「敵がそんな甘いヤツだと思うかよ?
  見ろ見ろ、奴等次から次にばかすか打ちやがる。死んだヤツにも念入りに撃ってくるぜ。
  どいつもこいつも石橋を叩いて歩くヤツばかりと見たね」
「物量作戦大いに結構ですが、弾が尽きるという事は無いのでしょうか。
  そろそろ山の形が変わってきそうですよ」
「奴等の銃撃が止むのは決まって三回、朝飯、昼飯、夕飯の時だけだ。
  そん時にゃ空から爆弾が降ってきやがる。有難いご馳走すぎていい加減満腹だよ」
「…おや、上官殿、突撃の銅鑼の音が鳴っていますが」
「けたたましい銃撃音で聞こえやしねえ。ほっとけ。今飛び込んでっても死ぬだけだ。
  …ほれ、あいつみたいにな」
「では休憩ですね。上官殿、お尋ねしたい事があるのですが」
「好きなタイプは色白巨乳。唇がふっくらしたのが好みだな」
「僕は清楚な女性が好きです。いえ、そうではなく。この戦楽勝だと聞いていたのですが」
「へえ。そりゃお前戦地を間違えたんだろ。
  あの世での戦なら楽勝だろうぜ、こっちの方が数が多いだろうからな」
「成程。それはとても残念な話を聞きました。それでは、銅鑼の音がやかましいので止めに行ってきます」
「おう、じゃあ俺もご一緒しようかね。いい加減楽な戦地に行きたいからよ」
「ご冗談を。僕は上官殿と心中する気にはなれません」
「俺もだよ」


「何故か生き残ってしまいましたね」
「人間死ぬ気になりゃ意外と何でも出来るもんだぜ」
「心外です。僕は生きて帰って可愛い許婚と幸せな家庭を築くつもりで頑張ったのですが」
「そんな可愛らしい事考えながら刀を振るうお前の将来が不安です」
「将来ですか?将来は立派な軍人となってもっと国に尽くせるよう頑張りたいと思っています」
「そりゃ殊勝な心がけだ。無茶振りされる部下の姿が目に浮かぶようだぜ」
「上官殿の将来の夢はなんです?」
「俺ァそうだなぁ。巨乳に囲まれて栄誉ある隠居ってとこかね」
「ふふ」
「へへ」
「「お互い、どてっ腹に風穴空けた状態でする話じゃないな」」


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